
はじめに
「アリババと40人の盗賊」は、世界中で愛される千夜一夜物語(アラビアンナイト)の一つです。
スリル満点の冒険、心に残る登場人物、現代にも通じる教訓が詰まったこの物語の魅力を、この記事で余すところなくご紹介します。
【アリババと40人の盗賊】どこの国?
「アリババと40人の盗賊」の物語が生まれた背景や、舞台となった国について解説します。

物語の起源と舞台
「アリババと40人の盗賊」は、中東の説話集である千夜一夜物語(アラビアンナイト)に含まれる物語の一つです。
千夜一夜物語自体は、ペルシャ(現在のイラン)を中心に、インド、アラビア、エジプト、メソポタミアなど、様々な地域の物語が集められたものと考えられています。
物語の具体的な舞台がどの国かは明示されていませんが、ペルシャやその周辺地域が舞台であると推測されています。
当時の文化や風習が色濃く反映されており、砂漠、バザール、隠された宝物といったエキゾチックな要素が物語を彩っています。
【アリババと40人の盗賊】登場人物
物語を彩る個性豊かな登場人物たちを紹介します。
主要な登場人物

- アリババ (Ali Baba)
貧しいながらも正直で心優しい木こり。偶然にも盗賊の隠した財宝を見つけ、物語の主人公となります。 - カシム (Cassim)
アリババの兄。裕福な商人で強欲な性格。アリババから宝の秘密を聞き出し、欲を出して悲惨な最期を遂げます。 - モルジアナ (Morgiana)
元々はカシムの家に仕える賢く勇敢な女奴隷。カシムの死後、アリババの家に引き取られ、その機転と勇気で何度もアリババの危機を救います。物語の影のヒーローとも言える存在です。 - 盗賊の頭領 (Chief of the Forty Thieves)
40人の盗賊団を率いる冷酷非情な男。部下を失いながらも、執拗にアリババを追い詰めます。 - 40人の盗賊 (The Forty Thieves)
頭領に忠実な部下たち。略奪した財宝を洞窟に隠しています。
【アリババと40人の盗賊】カシムとアリババの関係は?
物語の重要な鍵を握るアリババとカシムの兄弟関係について掘り下げます。
対照的な兄弟
アリババとカシムは実の兄弟です。
父親の死後、財産を分けましたが、カシムは裕福な商人と結婚してさらに富を得たのに対し、アリババは貧しい生活を送っていました。
- アリババ:貧しいながらも慎ましく、正直で、機転が利く人物。
- カシム:裕福だが強欲で、秘密を守れず、軽率な行動をとる人物。
この対照的な性格が、二人の運命を大きく分けることになります。
カシムは宝の秘密を知ると独り占めしようとし、結果として命を落とします。
一方、アリババはモルジアナの助けもあって危機を乗り越え、最終的に幸せを掴みます。
【アリババと40人の盗賊】の合言葉は?
物語の中で最も有名と言っても過言ではない、あの魔法の言葉について解説します。
洞窟を開く魔法の言葉

盗賊たちが隠れ家の洞窟の扉を開けるために使っていた合言葉は、
「開けゴマ!」 (Open Sesame!)
です。
洞窟を閉めるための合言葉は、
「閉じろゴマ!」 (Close Sesame!)
です。

この合言葉は、物語の重要な要素であり、アリババが偶然この言葉を耳にしたことから物語が大きく動き出します。
なぜ「ゴマ」なのかについては諸説ありますが、当時のアラビアでゴマが貴重な作物であったことや、ゴマの莢が熟すと自然に裂けて種が飛び出す様子が、扉が開くイメージと結びついたのではないかと考えられています。
【アリババと40人の盗賊】のあらすじ
手に汗握る物語の展開を、分かりやすくご紹介します。

物語の始まりから結末まで
- 偶然の発見
貧しい木こりのアリババは、森で仕事中に40人の盗賊団が隠れ家の洞窟に入るのを目撃します。
盗賊たちが「開けゴマ!」という合言葉で岩の扉を開け、財宝を運び込むのを見ました。盗賊が去った後、アリババも合言葉を唱えて洞窟に入り、金貨を持ち帰ります。 - 兄カシムの強欲と死
アリババの兄カシムは、弟が急に裕福になったことを知り、秘密を聞き出します。
カシムは一人で洞窟へ向かい、合言葉で中に入りますが、あまりの財宝に夢中になり、出るための合言葉を忘れてしまいます。戻ってきた盗賊たちに見つかり、殺されてしまいます。 - モルジアナの機転
兄の帰りが遅いのを心配したアリババは洞窟へ行き、兄の遺体を発見します。遺体を持ち帰り、女奴隷のモルジアナに相談します。
モルジアナは機転を利かせ、カシムが病死したように見せかけ、秘密を守ります。 - 盗賊の追跡とモルジアナの活躍
盗賊たちは仲間が殺されたことを知り、犯人捜しを始めます。やがてアリババの家にたどり着きますが、その都度モルジアナの賢明な判断と勇敢な行動によって、盗賊たちの計画は阻止されます。- チョークの印:盗賊の一人がアリババの家のドアに印をつけますが、モルジアナは近所の家のドアにも同じ印をつけて混乱させます。
- 油壺に隠れた盗賊:盗賊の頭領は油商人に変装し、38の油壺(実際には37人の盗賊が潜み、1つだけ本物の油が入っている)を持ってアリババの家に泊まろうとします。モルジアナはそれに気づき、煮えたぎる油を壺に注ぎ込み、盗賊たちを退治します。
- 最後の対決とハッピーエンド
生き残った盗賊の頭領は、今度は宝石商人に変装してアリババに近づき、復讐の機会をうかがいます。
しかし、またしてもモルジアナがその正体を見破り、踊り子に扮して剣舞を披露する際、隠し持った短剣で頭領を刺し殺します。
こうしてアリババはすべての危機から逃れ、モルジアナの功績を称えて自分の息子と結婚させ、洞窟の財宝を人々のために使い、末永く幸せに暮らしました。
【アリババと40人の盗賊】伝えたいこと
この物語が私たちに教えてくれる教訓やメッセージを考察します。
物語から得られる教訓

「アリババと40人の盗賊」は、、多くの教訓を含んでいます。
- 正直さと謙虚さの価値
アリババは正直で謙虚な人物として描かれ、最終的に幸福を手にします。これは、誠実さがいかに大切かを示唆しています。 - 強欲の危険
兄カシムの強欲さが彼の破滅を招きます。これは、過度な欲望が身を滅ぼすことへの警鐘と言えるでしょう。 - 知恵と勇気の力
女奴隷モルジアナは、その知恵と勇気で何度も危機を乗り越え、物語を良い方向へ導きます。身分や性別に関わらず、知恵と勇気を持つことの重要性を教えてくれます。 - 秘密を守ることの難しさと重要性
宝の秘密は、良くも悪くも人々の運命を左右します。秘密を安易に漏らすことの危険性を示しています。 - 偶然の幸運とそれに伴う責任
アリババは偶然幸運を手にしますが、それによって盗賊に狙われることになります。幸運には責任が伴うことを示唆しているのかもしれません。
中国の40人の盗賊と称される大企業は?
現代における「40人の盗賊」の比喩
中国のEコマース最大手である「アリババグループ」の社名が、この物語の主人公「アリババ」に由来していることは広く知られています。
創業者であるジャック・マー氏は、覚えやすく世界中で通用する名前として「アリババ」を選んだと言われています。この物語の「開けゴマ!」のように、中小企業にとっての扉を開く存在になりたいという願いが込められているとも言われています。
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